DAICHIと僕と、夢の跡

ダイアリーからのスムーズな移行に失敗した男

夏休みの宿題という文字をサンドバッグにしたい。

粉々にしてやる!!!こんなに怒りを
覚えたのは初めてだ!!!!
切り刻んで獣の餌にしてくれるわ!!!




そしてサンドバッグを車の後ろに縛り付けて、
俺がそのサンドバッグにしがみつく。

車を運転するのは、もちろんジョナサンだ。
彼はこの道五年のベテランである。
    「ようジョナサン。調子はどうだい?」

陽気なリズムを刻んでいるジョナサンに俺はたずねた。
相変わらず返事は無い。
返事が無いというのは、「言わずもがな」ということ。
ジョナサンは今日も絶好調だ!

ジョナサンは車に乗り込むと、勢いよくエンジンをふかした。
俺の鼻にきついにおいが突き刺さる。
しかし、慣れてくるとこの排気ガスも
心地いいものになる。


ジョナサンは相変わらずスピーカーの調子を気にしている。

2年ほど前から左のスピーカーの調子が悪く、
道の段差で音が途切れる事があるのだ。


車の中に放置されていた缶コーヒーを一気に
飲み干すと、クラクションを短く2回鳴らした。
低くてどデカい動物の鳴き声のような音である。
出発の合図だ!


俺はその合図を聞いて、力いっぱいサンドバッグを
締め付けるようにしがみつく!
胴締めスリーパーホールドだ!!


窓からはジョナサンのサムズアップ(Thumbs up)!!
今日も熱いぜ!!ジョナサン!!!


ここからは俺とサンドバッグとの一騎打ちだ。
どちらが先にくたばるか。
男と物の真剣勝負だ!!

車は勢い良く砂埃を巻き上げてスタート!!耐久戦だ!!


「少なくともヤツは2.5kmは耐えてくる!なら俺は
    その上を行くまでだ!!!!」


ジョナサンは車の中でご機嫌に何かを言っている!
俺を応援してくれているのか!!?
この勝負・・・ッッ!負けられないぜ!!!!












237m付近。案の定俺は死んだ。


敗れたのだ。この勝負にッ・・・
『夏休みの宿題』にッ・・・


敗れた敗因はただ一つ。



 『 机 』 に   向 か わ な か っ た 事 だ っ ・・・!!!